タイ不動産 市況
タイは現地の人たちとともにたくさんの外国人が暮らす国です。外国人の多くは企業から派遣された駐在員とその家族で、その他にもリタイアメントビザの制度を利用して仕事をリタイアした後にタイで暮らす人たちもいます。
これらの人たちは住宅を購入する人もいますが多くは賃貸住宅です。
しかし、タイで暮らす外国人の数も本国への帰国などで、ここ数年大きく減少しています。
タイの都会の不動産は現地の人や外国人が暮らすコンドミニアムが主要の住宅ですがそれだけではありません。
タイのバンコクの郊外やリゾート地の不動産にはムーバーンと呼ばれる一軒家が建ち並び、塀で囲まれて入り口にはセキュリティが常駐してエリアの中にはプールなどの施設が完備された集合住宅があります。
外国人はタイでは土地を購入できないため購入するのはタイ人です。
このようなムーバーンはバンコクだけでなく地方都市にもありますが、積極的に建築されているのはコンドミニアムでバンコクやパタヤ、シラチャなど外国人に人気のあるエリア中心に建てられています。
その中でもバンコクとパタヤは建築ラッシュが続いていますが、タイの不動産市況はそのようになっているのでしょうか。
こちらの記事ではバンコクの不動産会社スックリビングに一部協力を頂き執筆をいたしました。
タイの不動産の現況
タイの不動産は、2017年頃から盛り上がりを見せて新築物件の成約数は高い数字を示していましたが、年々成約数は減少しています。
中古物件についても同様ですがタイ人オーナーのプライドなのでしょうか売れなくても価格を下げないためなかなか販売に結びつきません。
新築物件も成約数が減少しているにも関わらずバンコクの東部のエリアのオンヌットからバンナーにかけてのBTS(高架鉄道)沿線や、その先のサムットプラカーンなどには新しいコンドミニアムの建築ラッシュで未成約の物件はますます増えるばかりです。
このような状況下で新築物件はますます供給過多となり、値下げして販売する物件も多くあります。
タイの不動産購入方法
タイのバンコクには65万戸ほどのコンドミニアムがあり、55万戸ほどが成約されて10万戸ほどが未成約とされています。
バンコクのコンドミニアムは部屋の使用目的の70%以上が自己居住目的とされる高い数字です。
日本の新規不動産は建築開始前に販売を開始して建築が始まるまでに完売と言う物件もありますが、バンコクではすでにでき上った不動産が人気です。
その理由としてはすぐに住みたいことが第一ですが、でき上った物件でないと住宅ローンの審査が進まないことや、タイの住宅建築は日本のようにあらかじめ決められた期日に完成することは稀で、1年以上も遅れて完成することもあります。
一方、投資目的で購入する人の中に外国人もいますが、これらの人たちは将来の値上がりを目的として、ほぼキャッシュで購入するのでこれから着工する不動産の購入には積極的です。
不動産の販売が好調な物件と不調な物件
このようにタイの不動産が全て不調かと言うとそうではありません。
多くの物件は成約数が低調ですが好調な物件もあります。
では好調な物件と不調な物件の違いはどこにあるのでしょうか。
販売が不調な物件
すでにご紹介しました通り、BTS沿いの物件には未成約の物件がたくさんあります。
これらの物件の共通点は価格帯が200~400万タイバーツ(約700~1,400万円)とタイ人のサラリーマンも部屋を購入できる価格帯です。
しかし、部屋のサイズが1ベッドルームでは30㎡以下で、2ベッドルームで50㎡以下と小さな造りです。
しかも同じようなコンドミニアムがたくさんあるのが不調の理由と言えます。
また、勤務地がバンコク中心部の場合には通勤に多少時間がかかることも原因です。
さらに、新築物件より便利なエリアに中古の売れていない物件も多数あるためこれらが競合となり、売れ残りがたくさん出ていると言えます。
また、不調な物件は郊外の物件だけではなく都心の高級コンドミニアムも同じような現象があります。
バンコクの歓楽街ナナに位置してBTSナナ駅直結の「Q1スクンビット」は売り出し価格が3,000万タイバーツ(約1億500万円)からの高級コンドミニアムですが、これまではこのような高額のコンドミニアムの成約率は高かったのですがまだ空き室が目立つ状況です。
販売が好調な物件
タイの不動産はタイ人が住居用に購入するだけでなく、将来資産価値が上がることを予想しての投資目的もあります。
賃貸用住宅として購入して価格が上がったところで販売する方法です。
投資目的の不動産は外国人の購入者も多かったですが、年々その数が減少しているところが未成約につながっています。
しかし、全部の不動産が販売不調かと言うとそうではありません。
バンコクでも外国人が多く暮らすエリアや、パタヤの市街地などでは販売が好調な不動産もあります。
特にパタヤでは外国人のオーナーが多く、投資目的で購入して賃貸用としてリタイア後にタイで暮らす欧米人などが借りるケースが多くあります。
一方バンコクは新築のコンドミニアムがたくさん作られているBTS沿線のオンヌット駅から先のエリアでも駅から近い不動産の成約率は比較的好調に推移しています。
それは、これまで人気のプロンポンやトンローエリアのコンドミニアムが高額すぎるため、そのエリアに住んでいた人たちが郊外に移転していることもあります。
また、これまでパタヤは市街地から少し離れた南側のビーチ沿いにあるジョムティエンが外国人を中心として人気のエリアでした。
市街地は騒々しいため仕事をリタイやした後に静かなこのエリアに住んでいましたが、パタヤに出るために時間がかかるため市内の中心部に歩いて行けるところに人気が集まり、コンドミニアムによっては発売するとすぐに完売と言う人気の物件もあります。
このようにタイの不動産市況は低調にもかかわらず物件によっては完売するような人気の物件もあります。
タイの地方の不動産市況
タイのバンコクやパタヤのような都市の不動産市況は紹介した通りですがそれ以外の都市の不動産はどのようになっているのでしょうか。
タイは大きく分けて北部と東北部、中央部と南部に別れます。北部は観光で人気のあるチェンマイやチェンライがあり、東北部はイサーンと呼ばれるエリアで産業や観光もなく多くの人たちはバンコクなどに出稼ぎをして暮らしています。
中央部にはタイの政治経済の中心バンコクがあり、面積は狭いもののタイの人口のほとんどが中央部に集中しています。
南部エリアは欧米人に人気のリゾート地のプーケットやクラビがあり、ゴムの栽培なども盛んに行われているためそれ程生活には困る人たちもいません。
このようなエリアに分かれているタイですが、バンコク以外では人口が少ないため大きなコンドミニアムを建てる必要がない状況です。
このようなことから不動産市況の好不調があっても地方にはあまり関係が無いと言えます。
まとめ
タイの不動産市況について紹介しましたが、不動産市況は経済の好不調と連動していることが多く好調な時は不動産の売れ行きが良く価格も上昇します。
不調な時は値下げをしても売れないのは日本と同様です。
タイは観光立国と呼ばれ観光収入はGDPの約20%にもなります。
観光は日本のように国内旅行で成り立つわけではなくそのほとんどは外国人から得た収入です。
また、たくさんの外国企業がタイに進出して、最終の組み立て工場として利用しており、最も多いのが日本の企業です。
このようにタイの経済は外国の影響を受けやすい状況で、現在の状況下では非常に厳しく不動産市況にも影響が出ています。
こちらの記事の一部の執筆にあたりましてタイ・バンコクの不動産会社スックリビングに協力を頂きました。
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