海外の不動産投資をするとなると税金の問題が気になるものです。日本と海外のどちらの税制が適用されるのか、どんな名目の税金が発生するのか、確定申告は必要なのかなど気になることはたくさんあります。そこで、この記事では海外の不動産投資にかかわる税金について基本的なポイントを解説しました。
1.不動産所有国で課税される
海外の不動産を用いて投資する際には、不動産の所在する地域において課税されます。主に課税される税金は下記の2つです。
・賃貸収入への課税
・譲渡による所得に対する課税
不動産所在地での課税の場合は、日本とは異なる税制が適用されるため注意しましょう。たとえば、アメリカの賃貸物件で賃貸収入を得る場合は、家賃収入から各種控除を引いて、他の所得と合わせて総合課税されます。税率は10%~35%まであり、頻繁に変更されるため、最新の情報をチェックすることが大切です。
2.日本でも課税を受ける
海外に不動産を保有していて、賃貸収入から所得が生じたのであれば、それについて日本でも課税されます。したがって、日本と海外の両方で確定申告する必要があるのです。これでは二重課税となるため、日本では外国税額控除という制度があります。ただし、この制度でも海外で支払った税金を無制限に控除できるわけではなく、二重課税がすべて解消されるわけではありません。
外国税額控除の制度は、基本的に多くの国で適用されます。日本と租税条約を結ぶ国でのみの適用となるのですが、海外不動産投資の対象となる国であれば問題ないでしょう。
確定申告の際には海外で得た収益については、収益や費用を日本円に換算した上で計算する必要があります。そのため、確定申告の際の計算は複雑になるため、基本的には専門家に相談した方が良いでしょう。
3.海外の不動産投資でも節税はできる
海外の不動産への投資でも、日本の場合と同様に節税することは可能です。さまざまな項目を経費として計上できるため、税金を減らすことができます。認められる経費には下記のようなものがあります。
・税金
・保険料
・業務委託料
・修繕費
・減価償却費
・金利
この中でも特に大きな割合を占めることになるのが減価償却費です。減価償却費とは、購入した資産を少しずつ分割して計上していくルールです。減価償却した方が結果的に節税することにつながります。
4.海外不動産投資が節税になる理由
海外への不動産投資は二重で課税されるため損するのではないかと考える人がいるかもしれません。しかし、実際には海外不動産投資を上手く活用して節税している人は多いです。
海外の不動産は日本の不動産と違って築年数が経過してもあまり価値は低下しません。特に欧米の場合は、一つの住宅が何十年も使われるケースが多いのです。海外の不動産は日本よりも償却期間が短くなります。したがって、減価償却費をより多く計上できるため節税につながるのです。
また、海外は日本と異なり土地が安い国が多いです。土地が安いとその分だけ建物に大きなお金をかけることができます。基本的に減価償却できるのは建物部分のみのため、不動産に占める建物の割合が大きくなるほど多くの減価償却ができるのです。たとえば、アメリカの不動産に投資すると、土地と建物の割合が2:8になることも少なくありません。日本よりもかなり多くの減価償却費を計上できて節税につながります。
海外の不動産投資では、上記のような仕組みで数年間の節税をした後に売却する流れが普通です。この際には譲渡益が生じて、それにも税金がかかるため注意しましょう。
5.まとめ
海外の不動産投資でも税金は発生して、不動産所在地と日本の両方で課税されることになります。ただし、海外の不動産の方が減価償却費は大きくなり、不動産の価値も落ちにくいなどの理由から多くの利益を得やすいのです。これから海外で不動産投資をするならば、当該国の税金制度について詳しく調べておきましょう。